シリーズ・編集長がやってみた「骨董」第4回 ~別の社に売ってみた~

~別の社に売ってみた~

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さて、B社から聞いた事情を話さなければならない相手がおります。それは、所有者にもしものことがあったときに、残された骨董のすべてを相続する人物(うちの親父)です。私は、親父に事情を説明し、意見を聴いた上であらためて販売戦略を練ろうと考えました。

 

親父の意見(指示)はカンタンでした。「別の社に来てもらって、さっさと売ってしまえ」

 

というのも、実は私自身が、応挙やそのほかの品々の評価をB社から受け、相当がっがりさせられましたこともありましたし、「もしかしたら、騙されているのではないか」という疑念もあったのです。

そのため、親父も私の印象を重視。手間をかけるだけ無駄だと考えたようです。

 

私は、その指示に沿って行動することにしました。

 

再びネットで東京に店を持っていることを前提に多くの会社を検索。その結果、C社に行き着きました。

 

数日後、店を訪ねてみると、B社とは全く異なりとてもきれいな画廊のようで「もしかして」という期待を抱かせる雰囲気でした。また、店のスタッフにいろいろな質問をしてみましたが、その対応も誠実で、とても好感が持てましたので、保管場所へ来ていただくことにしました。

 

さて、来訪日、約束した時間にB社の2人が現れました。そのうちの1人(偉い人)は、何となく、どこかで見かけた記憶があったので、訊ねてみると、テレビの鑑定番組に出演しているとのこと。俄然、期待が高まります。

 

早速、物品を見ていただきました。しかし、どれを見ても反応はB社と同様で、あまり高価な買い取りを期待できるものではありません。丁寧に教えてくれましたのでその内容を紹介しますと

①掛け軸は、表具を交換してあると価値を劇的に下げてしまう

②掛け軸は現在、中国のものが人気

③骨董には、流行があり、十数年前だと、もう少し評価できたかもしれない

④美女画は、現在でも人気で、中には高額なものもある

など

 

すべての掛け軸をチェックしましたが、ご丁寧にすべて新しい表具に交換してありました。所有者も、何も知らないで交換したのでしょう。また、絵そのものも高価なものでなく、街の骨董市に出して安く売るようなものばかりだとのこと。そのほかの骨董も、同様の評価です。

 

所有者の言っていたこととは大きく異なる結果に、深~いため息。もしかしたら、手に入れるときに、すでに騙されていたのかもしれないと感じました。

 

「仕方ない」と割り切り、売却を決意。すべての品を売却しました。当初描いていた数字(A社の資料による)とはかけ離れた代金です。

 

さて、ここからが後日談です。

 

ある日、B社から電話がありました。「あの1品はどうなりましたか?」とのこと。でも、相談しに行ったときに大して反応を示さなかった品だったので、不思議な気分でしたが「親戚にあげました」と伝えると、ひどくがっかりした様子で、「あれは、かなり高額になると思う」だそう。

 

ショッ~~~ク! すでにあげちゃった後です。

「早く言ってよ」とは、このこと。

 

実は、B社に相談した後、「どうせ価値が低いものなら、欲しい人にあげよう」なんていうことを話していたのですが、たまたま、本当にたまたま、親父の遠縁にあたる知人が遠い田舎から親父のところへ遊びに来ており、「せっかくだから何か持って行け」という親父の言葉に、本人は興味はないけれど取り敢えずもらって行こう、と言う感じで持って行ってしまっていたのです。

 

電話を切り、素早く親父に連絡すると「今さら返せとは言えない」と自らのプライドを維持しようと懸命です。そして……あきらめました。

 

それから再びB社と話しをしましたが、よくよく話すと、C社よりもB社のほうが総額が上だったようなお話。つまり、最初からB社にお願いしていれば、もっといい額で売ることができたということなのです。(C社に騙されたとは言いませんが)

B社も、多少の駆け引きがあったのでしょう。騙すつもりではなく、慎重だったのかもしれません。

しかし、何もかも後の祭り。ひどい失敗をしたものです。

 

 

(第5回に続く)

 

※本コラムは、あくまでも個人の体験を元であり、業界全体を評価するものではありません。